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詩と映画と日記

詩と映画と日記

クオ・ヴァデイス

クオ・ヴァディス

原作:ヘンリック・シェンキービツチ
(ノーベル文学賞受賞)

監督:マービン・ルロイ

キャスト
ロバート・ティラー
デボラ・カー
レオ・ゲン
ピーター・ユスチノフ
パトリシャ・ラフィン




「クオ・ヴァディス」

MGMがこの映画の製作に取り掛かったのは
1936年だったそうです

「風と共に去りぬ」の映画化権を
セルズニックが買い取ったのと同じ年でした

「風と共に去りぬ」は1939年に完成しましたが
「クオ・ヴァデイス」の完成までには
1952年まで待たねばなりませんでした

15年もかかったのは
「ベンハー」「十戒」「聖衣」「スパルタカス」
にも勝る大作なのと戦争のためでした

170分の壮大な古代史劇です

アメリカの映画なのに多額の費用を惜しまず
イタリアで撮影されたのは

やはり歴史の重みですね
アメリカ映画は大好きですが

ローマには脈々と残る歴史があります
この国はトロイの生き残りが建国をしたと
言い伝えられていますが

「クオ・ヴァデイス」のなかの
地中海松の並木が延々と続く
舗装されたアッピア街道ひとつ見ても

たくさんの芸術家を輩出した
ルネッサンス、メジチ家、バチカン等
様々なことを思い起こします


物語は一世紀半ばのローマ帝国です
歴史に名高い暴君ネロの治世で
広大な国土と軍事力を持ち
益々強大になろうとする頃の事です

3年に及ぶパルティア遠征から帰国した
軍団長マーカス・ビニキウスは
ローマに入る手前の郊外で部下と共に
野営を命じられます

彼はその夜、訪れた元将軍の屋敷で
人質として預けられていた
リギイ族の王の娘に逢います

ビニキゥスはリギアをひとめ見て

「雲霞のごとく異様な雄たけびを上げて
パルティアの軍勢が我が軍に押し寄せても

ぴりっともしなかったこの膝が
リギアを見た時、子供のように震えた」

と言うほどに惚れ込みます

彼が、ホメロスの中の
オデッセウスがナウシカに話しかけた言葉を

「あなたは人間なのか女神なのか・・・・・」と
口ずさみましたら

リギアは乙女らしく恥らいながら即座に
ナウシカの言葉を引いて返事をしました

素晴らしい出会いでした

でもこの恋は
大変前途多難なものとなります

というのは
皇帝ネロが退屈を紛らわすためと
詩作の材料欲しさに大火を見たいと望み
ローマに火をつけたのでした

火事に焼かれた民衆の怒りはものすごく
あわや暴動となりそうです

ネロは矛先を自分からそらすために
キリスト教徒に罪をかぶせました

捕らえられた多くのキリスト教徒たちは
闘技場いまも残るコロセウムですが

ここで飢えたライオンの餌食とさせられ
怒った民衆の見世物となりました

あるいは十字架に掛けられて
生きたまま焼き殺されました


ところで実は
リギアもクリスチャンだったのです

多神教でなんでも神様として奉り
本当の信仰とは縁がなく自分の力しか信じない

生粋のローマ軍人であるビニキゥスには
とても受け入れられるものではありませんでした

原作では猛々しい牡牛の角の間に
裸体で縛られたりギアが闘技場に引き出されますが

映画では不可能だったのでしょう
杭につながれています

この姿をみたビニキゥスはどんな気持がしたでしょう
思わず知らず、助けを主に乞い願います



場面は変り
難を逃れてアッピア街道を行く使途ペテロに
主の言葉が聞こえました

ペテロは主の光に向って問いかけます

「クオ・ヴァディス・ドミネ」

主よ何処に行きたもうかと言う意味だそうです



凛々しい軍団長を「哀愁」のロバート・ティラー

可憐なリギアをまだ蕾のデボラ・カーが
気品高く演じています

ピーター・ユスチノフの演じたこの皇帝を
超えるネロには今だお目にかかっていません

夫ある身でありながらネロを魅惑して
王妃の座を射止めたポッペアの妖しい魅力を
パトリシャ・ラフィンが見事に見せています

レオ・ゲンは何をさせても渋く巧く
いい俳優です

この映画に出会った衝撃が
わたしをおそらくは生涯の映画好きにしました





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